blog20100901

2013/08/20 - プログラミング言語 Perl にまつわる etc. - Perl monger
参考 : perldoc, perldoc.jp, search.cpan.org, perldoc.perl.org ...
「 初めての Perl 第 6 版 」(オライリー・ジャパン発行 ISBN978-4-87311-567-2) 」
「 続・初めての Perl 改訂版 」(オライリー・ジャパン発行 ISBN4-87311-305-9) 」
「 Effective Perl 第 2 版 」(翔泳社発行 ISBN978-4-7981-3981-4) 」 ... etc,.

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Perl YAPC::Asia 2015 ( Larry Wall の話 )

Perl YAPC::Asia 2015 ( Larry Wall の話 )

目次 - Perl Index



Theme



「 東京ビッグサイト 」で開催された Perl の祭典「 YAPC::Asia 2015 」に参加してきた話。



YAPC::Asia <<EOT



YAPC::Asia 2015 に参加しました。僕にとって最初で最後 ( !? ) の YAPC::Asia です。

参加するまでには、個人的にわりとヘビーな紆余曲折がありましたが、沖縄で Yomitan.pm を主催する masakyst さんの参加表明 Tweet に背中を押されて参加を決断しました。

結果的には、沖縄勢のみなさんに助けられつつ、大きなお祭り ( Party ) を存分に楽しむことが出来ました。

前夜祭からの 3 日間で、 15 ものトークと趣向を凝らした各 Lightning Talk を目の当たりにして、エンジニアリングとそれに関わる方々の面白さを改めて実感できたわけです。

今回の記事は、「 メリークリスマス! 」で登壇した Perl の生みの親 Larry Wall ( ラリー・ウォール ) のお話を僕なりの解釈でまとめたものです。もちろん、他で拝聴したトークも順次まとめていく予定です ( 今年とはいってない)。


Perl とホビット, 指輪物語



「 Larry Wall 」は、プログラミング言語「 Perl 」の生みの親で「 プログラマの三大美徳 」を提唱したプログラマです。また、彼は言語学者でもあります。

僕は Perl を学び始めた 2013 年頃に、Perl を生み出した人物のことが知りたくてインターネット上のいくつかの記事を読みました。そこにはいつでも不思議な人物がいて、その発言は常に興味深いものでした。

例えば、gihyo.jp の記事では次のようにいっています。「 《(私は)金持ちです》。どれだけ持っているかではなく,どれだけ与えることができるかというのが金持ちの定義なら」。僕はこれまでこんな定義は聞いたことがありませんでした。

それから、next.rikunabi.com の記事ではこうもいっています。「 そうそう。『高橋留美子、大好き!』」だと。Larry は「 少女革命ウテナ 」や「 あずまんが大王 」も好きなのだそうです。

今回は、Larry 自身がファンである作家 J・R・R・ トールキン ( John Ronald Reuel Tolkien ) の著作「 ホビットの冒険 」と「 指輪物語 」を、Larry の著作「 Perl 5 」と「 Perl 6 」に対置させるかたちで話が展開されました。トールキンもまた、言語学者だったといいます。

「 ホビットの冒険 」( The Hobbit, or There and Back Again : 以下 Hobbit ) は、1937 年に出版されたファンタジー小説で、ホビット族の「 ビルボ・バギンズ 」が財宝を取り返すために旅をする物語です。

「 指輪物語 」( The Lord of the Rings : 以下 LotR ) は、「 ホビットの冒険 」の続編に位置する作品で、ビルボの養子「 フロド・バギンズ 」が「 一つの指輪 」とともに旅をします。LotR は 1945 年に第 1 巻が出版が出版されました。

LotR は Hobbit から 15 年の歳月をかけて書かれた続編だといわれます。それは 2000 年に発表された Perl 6 が 2015 年現在までに積み重ねた時間と同じだと Larry はいいました。


より成長した物語



LotR は、Hobbit と同じプロットでありながらより成長した物語だと Larry はいいます。

Larry 自身も常に「 成長したい 」ともがいているそうで、トールキンの物語がそうであったように Perl 6 もまた Perl 5 から成長した物語として作り上げたいとのことでした。

Larry のいう「 成長 」が何を意味するのか正確には分かりませんが、過去のインタビューでの発言や今回のトークを見聞きする限り、それはとてもシンプルであるように感じます。

Hobbit の頃のホビットたちはみな強欲 ( greed ) で常に何かを得ようとしていたといいますが、Larry は「 何かを得るよりも、何かを与えるほうが、ずっと面白くて幸せだ 」といいます。

Larry のいう「 成長 」は、何かを得るための成長ではなくて、何かを与えられるようになるための成長なのかもしれません。得ることは与えるための手段ということです。


中つ国



「 中つ国 」( Middle-earth ) は、トールキンの物語の舞台になっている世界です。ビルボの冒険もフロドの冒険も全部が中つ国での物語です。

Larry は Perl を中つ国だといいました。「 言語を作るのは世界を作ること 」ということです。

それから、「 新しい世界を作るには時間が必要 」ともいいました。「 新しい世界 」とは「 Perl 6 」です。

Hobbit と LotR は同じ世界の違う物語です。Perl 5 と Perl 6 も違う言語だといわれていますが、それらもやはり同じ世界の物語だということです。

たとえ表層が異なっていても深い部分は変わりません。中つ国は中つ国で Perl は Perl です。全体は再設計されて再構築されますが、そこにある文化は変わりません。とのことでした。


正しく失敗する



「 I FAIL GOOD 」。正しく失敗するという意味だそうです。

Larry はこれまでいくつもの失敗をしてきたといいました。けれども、それらは興味深い失敗だったといいます。

これからリリースする Perl 6 はうまく行くように仕事をしている。しかし、それでも、Perl 6 は失敗するかもしれないといいます。

「 失敗 」はほとんどの場合ネガティブな評価です。それなのに、Larry のいう「 失敗 」にはそういう雰囲気がありません。

失敗の過程が他の誰かの役に立つならそれはそれで良い、と考えているようでしたし、失敗は成長の糧になると確信しているようでした。

ほとんどの場合、人が何かの仕事をする時は成功を追い求めるものです。でも、Larry 場合は、それとは異なる何か ( 異なる成功 ) を求めているように思えました。


Get ready to party! ( パーティの準備をしよう )



Larry はトークの冒頭で「 パーティは好きですか ? 」と語りかけました。

トールキンの物語は「 Party 」で始まります。Hobbit ではティーパーティで、LotR ではバースデーパーティーです。

「 Perl 6 」の本編はこれからが始まりです。始まりはいつも Party ですから、今から準備をしておきましょうということです。


メリークリスマス !



「 Perl 6 はクリスマスにやってきます 」。Larry はこれまでに何度かこういってきたそうです。ただし、「 今年の 」とはいってない。

YAPC::Asia 2015 でも、「 Perl 6 はクリスマスの頃にやってくる 」といいました。 これまでと違うのは「 今年の 」と明言したことです。「 Ho, ho, ho! 」。

リリースされる Perl 6 は完全ではないだろうと Larry はいいました。でも、きっと楽しめるものをリリースするとのことです。

僕は今 Perl 5 を学習していて、その終わりが見えない学習をとても面白いと感じています。Perl が UNIX システムと密接に融合しているところも気に入っています。だから、正直な話 Perl 6 にはまったく興味がありませんでした。

でも、Larry のトークを聞いているとなんだか興味が湧いてきます。なぜといって、Larry の人柄や考え方がとても好きで、それから、あのしゃべり口で直接解説されるわけです。

よほどのへそ曲がりでなければ、誰でも興味が湧くのではないでしょうか。


みんな仲良くやりましょう



Larry は、「 みなさん仲良くやりましょう 」といいました。それから、「 みながみなを好きでいてください 」ともいいました。

今年のクリスマスにはきっと Party が始まります。それから僕たちは新しい中つ国で新しい冒険に出るわけです。

でも、たったひとりでは冒険はできません。Hobbit も LotR も、それぞれがそれぞれの Party を組んで冒険をしました。

Party の仲間たちは、それぞれの考えや目的を持っていますから、時には意見の相違があり、衝突があり、離散もあるかもしれません。それでも Larry はいうわけです。 「 みなさん仲良くやりましょう 」。

それは、「 もし私 ( Larry ) が灰色港から旅立つことになっても 」です。


EOT



僕は、長い時間をかけてコンピュータエンジニアリングと向き合ってきている方々に敬意をもっているので、自分のことをエンジニアだとは思っていません。

それでも、「 YAPC::Asia に参加して、YAPC::Asia のトークが面白いと思えるなら、それはもうエンジニアだよ 」といっていただいた詳しい先輩の暖かみには胸が熱くなりました。

「 未来のことは誰にもわかりません 」と、Larry はいいました。僕の未来もどうなるかわかりません。願わくばより良い未来であってほしいと思います。

どちらかといえば、不安の大きい現在ですが、Larry のトークを聴いていると、そうした中でも、できることをひとつずつこなして、できないことをひとつずつできるようになることで、より良い影響を「 与えられる 」ように「 成長 」したいと思えました。

素敵なお話を提供してくれた Larry Wall に感謝します。

それから、素晴らしい場所を設けてくれた Maki さんをはじめとする YAPC::Asia 2015 のスタッフのみなさん、および、パーティを一緒に楽しんでくれた参加者のみなさんに改めて感謝します。ありがとうございました。






















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この記事へのコメント
とてもいい話ありがとうございます
ちょっと 仕事で滅入っていたので
ポジティブになれました。
せっかくの機会なので 正しい失敗を
一杯してきます。
Posted by hiro at 2015年09月01日 20:37
> hiro さん
少しでも役に立つ何かを伝え (与え ) られたとしたら、そうした意味を汲み取ってもらえたことをとても嬉しく思います。ありがとうございます。
Posted by ohtpointohtpoint at 2015年09月04日 08:20
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